「車検証で所有者と使用者が違っていた…」
「所有者と使用者が違うとなにかデメリットはあるの?」
上記のような疑問にお答えします。
車検証で所有者と使用者の名義が違うことはよくありますよ。
でも名義がちがうと事故をしたときの責任が所有者にまでおよぶ場合があるので注意です。
所有者と使用者の違いをただしく認識しておくと、自分の身を守れると思いますよ。
1車検証の所有者と使用者の違いとは?
所有者と使用者の違いはこちら。
- 所有者:車の所有権をゆうし、名義変更等で承認が必要な人
- 使用者:車を使用し、車のメンテナンス等の義務を負う人
さっそく解説しますね。
1-1所有者とは
車の所有者は車の「所有権」をもっています。
車の所有権があれば、車の売買(名義変更、廃車手続き)や車検証の記載内容を変更できます。
なのでたとえば、車の「新規登録」、「抹消登録」、「名義変更」などは車の所有者でなければできません。
もし仮に手続きを代行してもらったり、使用者が手続きをするときは、所有者から「委任状」をもらう必要があります。
このように車の所有者になれば所有権があるので、勝手に車を売られたり、名義を変えられないように制限ができます。
あとで説明しますが、だからローンで車を買ったときや会社の車は所有者と使用者が異なるんですよね。
1-2使用者とは
いっぽうで車の使用者とは、車を使用する権限を有している人のことです。
で、車を実際に使用するのは使用者なのでメンテナンス等の義務も負います。
たとえば車検を受ける義務って、所有者ではなく使用者のほうが負うんですよね。
(継続検査)
第六十二条 登録自動車又は車両番号の指定を受けた検査対象軽自動車若しくは二輪の小型自動車の使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後も当該自動車を使用しようとするときは、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう継続検査を受けなければならない。この場合において、当該自動車の使用者は、当該自動車検査証を国土交通大臣に提出しなければならない。
道路運送車両法:継続検査
また使用者は違反駐車等をしたときの反則金も支払う義務を負います。
もし使用者が払わないときは、所有者に支払い義務が来てしまうので注意すべきですね。
こんな感じで、所有者と使用者で権限や義務の範囲が異なりました。
つづいては、どのようなケースで所有者と使用者が異なるのか紹介しますね。
2車検証の所有者と使用者の名義が異なるワケ
車検証で所有者と使用者の名義が異なるケースはおもに3パターンあります。
- ディーラーが所有者のとき
- 家族が所有者のとき
- 法人が所有者のとき
2-1ディーラーが所有者のとき
ディーラーでローンを組んで新車購入されたときは、ディーラーが所有者のままになります。
なぜかというと、ローンを完済してもらうためです。
ディーラーからしてみれば、もし万が一ローンを払ってもらえないときに、所有者になっていれば車を取り返せますよね?
なのでローンが完済するまでは、所有者がディーラーになっているケースがよくあります。
またローン完済後は、所有権解除のため名義変更をするのですが、これをしないまま放置していることもよくあるんですよね…
なのでディーラーが所有者の車があれば「新車で車を買ったのかな」と考えておけば十分です。
あと一つ忘れていたのですが、リースでディーラーから車を借りているケースもありますね。
2-2家族が所有者のとき
親の名義で車を購入したときは、親が所有者で子供が使用者になっていることもよくあります。
この理由は、子供が勝手に車を売ったり、名義変更できないように管理するためですね。
とくに子供が未成年のうちは名義を親にされている方が多いです。
2-3法人が所有者のとき
法人名義で車を購入したときも、所有者と使用者は変わるケースが多いですね。
たとえば東京の本社で車を購入していて、実際車を使用しているのは各支店になるので、支店ごとに使用者の名義を変えていますよ。
使用者の名義の住所で、ナンバーの発行できますし、車庫証明書は使用者が借りた駐車場をしてします。
それに何度も言いますが、所有者を本社にしておけば、支店のほうで車を処分できないので本社が支店の車両を管理しやすくなるメリットもありますよね。
以上までが所有者と使用者の名義が違う理由でした。
つづいては、所有者と使用者がちがうことで、事故などの責任はどうなるのか解説していきますね。
3Q&A所有者と使用者のどちらに責任があるのか
所有者と使用者でどちらに責任があるのかまとめてみました。
- 事故したときの責任
- 交通罰金をしたときの責任
- 自動車税や重量税等の税金の納税義務者
3-1事故したときの責任
結論をいうと、運転をしていなくても事故の賠償責任を負う可能性はあります…
まずはどのような時に損害賠償義務が生じるのか確認します。
(自動車損害賠償責任)
第三条
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
自動車損害賠償保障法:自動車損害賠償責任
ここで論点になるのが、だれが「自己のために自動車を運行の用に供する者」に該当するかというはなしです。
いわゆる「運行供用者」のことで、
- 車を管理・コントロールできる立場の人→危険責任
- 車の運行によって利益を受けている人→報酬責任
上記の2つがポイントになります。
たとえば会社名義の車で、従業員が事故をすれば、その損害賠償責任は従業員と会社にきてしまうんですよね…
会社としては、「運転してないのに…」という状況なのですが。
また友人に車を貸して事故されてしまうと、事故を起こした友人だけではなく、車を貸した人(使用者)また場合によっては、車の所有者にも責任がきます。
なのでむやみに車を貸したりしないほうがいいとおもいます。
3-2交通罰金したときの責任
交通規則を違反して反則金がかかったときはどちらが負担すると思いますか?
基本は車で違反行為をした人が反則金を負担します。
しかし違反者が反則金を納めなければ、車の使用者に責任が来てしまうんですよね。
そして使用者も反則金を納めなければ、所有者へと…
反則金ではありませんが、違法駐車で車をレッカーされてしまったときの費用は使用者or所有者が負担するという法律を見つけましたw
(違法駐車に対する措置)
第五十一条
15 第二項、第三項又は第五項から第十一項までの規定による車両の移動、車両の保管、公示その他の措置に要した費用は、当該車両の運転者等又は使用者若しくは所有者(以下第五十一条の二の二までにおいて「使用者等」という。)の負担とする。
道路交通法:違法駐車に対する措置
こんな感じで、基本は違反者が払うべきですが、けっきょくは車の使用者や所有者まで責任の範囲が広がってしまうリスクはあります。
3-3自動車税や重量税等の税金の納税者
自動車税等の納税義務者は、車の所有者になりますよ。
ただし、ディーラーからローンで購入したときなど割賦販売では、車の買主を所有者とみなして課税されます。
① 自動車の所有者に課税します(所有者課税)。
なお、割賦販売などで売主が自動車の所有権を留保している場合は、 買主を自動車の所有者とみなして課税します。
② 国または地方公共団体等が所有する自動車の貸与を受けてその自動 車を使用する場合は、その使用者が納税義務者になりますが、公用ま たは公共の用に供するものについては課税されません。
東京税務協会:自動車税
上記を考えれば、所有権がうつらないリースでは、自動車税等は負担しなくてOKということになりますね。
会計的にいえばオペレーティングリースというタイプのものです。
ただし、契約の内容によっては「重量税や自動車税は使用者が負担する」とかチート的な文言を含められているかもなので確認しておくべきですね。
まとめ:車検証の所有者と使用者の違いを理解してリスクに備えましょう。
所有者と使用者の違いはこちらでした。
- 所有者:車の所有権をゆうし、名義変更等で承認が必要な人
- 使用者:車を使用し、車のメンテナンス等の義務を負う人
車の所有者になれば、使用者が車の名義を変えたいときに「所有者からの委任状」が必要になるので、制限を課すことができましたよね?
また車の使用者と所有者は、たとえ本人が車を運転していなくても事故のときの賠償責任を負うリスクがありました。
そして反則金や税金の負担もけっきょくは所有者にまで及びます。
車検証で使用者と所有者の名義を分けるときは、リスクについて理解してからにしましょう。
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